陽介の言葉に何も返さずに黙っていると

「ちなみに陽介は、何が欲しいんだ?」

龍司がゆっくりと聞き返した。すると

「そんなの、決まってんだろ!皐の手料理だ!」

満面の笑顔で陽介が答えた。その瞬間、俺は、肩の力がなくなった気がした。

「なら、こっちが勝ったら?お前らのどちらか俺たちに何かしてくれるのか?」

俺が愕然としてる中、和也が龍司と陽介を見て言った。その言葉に2人は、黙り込んでしまった。

「…たくっ、お前らの出来ることがないなら言うなよ。皐だけが損するだろ。」「別に、俺は構わないぞ?」
「「「はっ?」」」

平然とした顔で答えた俺に龍司たちは、驚いた顔でこっちを見た。

「なっ、なんだよ。俺、変なこと言ったか?」

ボールを持ちながら言い返すと

「…マジで…いいのか?」

陽介がもう一度、確認するように聞いてきた。それに対し俺は、すぐに頷いた。

「その代わり、俺たちが勝ったら飯奢れよ。」

龍司と陽介に向けて指差して言った。そして、お互い笑顔で答えたと同時に試合開始。



数時間後、ぐったりと座り込む男2人。

「はぁ…はぁ…っ…」
「きったねぇ…こんなの…詐欺だ…」

息を切らしながら龍司と陽介が何故か俺を睨み付けたまま言い放った。

「…詐欺って…お前な…」

汗を吹いて息を整えながら言い返す。

「だって…こんな…上手いなんて…聞いてない…」
「聞いてないって…龍司、お前は、良く知ってるだろ?」

龍司に言い返すと

「まぁな。和也は、ともかく皐には勝てるとは思ってなかったからな。」

前髪を掻き上げて言う龍司に

「お前な〜、そういうことは早く言えよ!」
「はぁ?言っても信じないだろ?だったら実際に体験すればいいと思ったんだよ。」

ギャアギャアと言い争う2人を見て俺たちは、呆れていた。