約束

「……」

微かに微笑み龍司は後を追うように駆け寄った。



「ああ、もう！陽介、いい加減、離せよ。」
「やだよ。」
「…はぁ〜。」

陽介の強引さに俺はため息をついた。それに気づいたのか突然、陽介が足を止めた。

「うおっ！」

足を止めた陽介に俺は、そのまま勢いよく陽介の背中にぶつかった。

「陽介〜、お前…意気なり止まるなよ…」

鼻を抑えながら陽介に言うが陽介は下を向き黙ったままだった。

「…陽介？」

様子のおかしい陽介が心配になり俺は顔を覗き込んでみた。すると…

「ごめん…」

落ち込んだ表情で陽介が謝ってきた。

「…なんで、お前が謝るんだよ。」
「だって…俺…」
「はぁ〜。あのさ…お前も和也も俺に気を遣い過ぎなんだよ。」
「……」
「陽介たちと出会ってからまだそんなに時間たってないのに…俺のこと心配したりさ。それなのに俺はお前たちに何も話してないんだぜ？」

俺の話を聞きながら陽介は右手を握りしめていた。すると、後ろから龍司と和也が歩いてくる。

「皐、俺と陽介にとって時間とか関係ないんだよ。ただ、友達だから何かしてやりたいって思うんだよ。」

「……」

和也の言葉に黙る俺の髪を龍司が撫でる。

「龍司？」
「……」

龍司は、ただ何も言わず優しく微笑むだけだった。まるで何かを俺に伝えるかのように…。

「…ありがとう。」

俺は、その一言しか言えなかった。それでも龍司たちは、俺に笑顔で応えてくれた。

「よしっ！一段落したとこで遊びまくろうぜ！」

俺と陽介の間に入り肩を抱いて元気良く龍司が言い俺たちは、走り出した。


「んじゃ、最初はやっぱりあれでしょ！」

目を輝かせながら陽介が指差す方を向くと

「「「……」」」

その先にあるのは一番人気で高さもあるジェットコースターだった。

「…マジ…かよ…」

呆然として俺が言うと

「悪いな…あいつ、絶叫系大好きだから…」