「あっ、ああ。」

少し戸惑いながらも俺は返事をした。そんな俺の様子にみかねてもう1人の男がゆっくりと近づいてきて

「おい、陽介。意気なり声かけたらダメだろ!そいつ、びっくりしてるだろ。ごめんな、俺、桜原中の菊池和也だ。こいつは、工藤陽介。よろしくな。」

自己紹介を終え軽く微笑むとそいつは俺に手を差しのべた。

「…ああ。俺は、星野皐。こっちは、桐谷龍司だ。よろしく。」

俺も微笑み握手をしながら自己紹介をし龍司も軽く笑顔で応えた。

「…お前らこの辺の奴らじゃないのか?」

じっと2人を見ながら龍司が問いかける。すると

「ああ、まぁな。ちょっと訳あって散策中かな。」

苦笑いしながら菊池が答えた。

「えっと…菊池だっけ?」

「ああ、和也でいいよ。同い年みたいだし。それに君たちのことも名前で呼ばせてもらうからさ。」

「俺のことも陽介でいいから!」

俺が名前を聞き返すと2人は笑顔で言い返してきた。そんな2人に俺たちもつられて笑顔で返事をした。

「んじゃ、もし良かったら俺たちと一緒にくるか?」

突然、俺の隣にいた龍司が和也たちに問いかけた。

「「えっ?」」

龍司の問いかけに2人は驚いていたが陽介は笑顔で頷いた。そして、俺と龍司は小さい頃からずっと行き来している場所へと向かった。

「…それにしても…夏休みなのになんで和也たちは制服なんか着てるんだ?」

さっきから気になっていたのか龍司が不思議そうに問いかけた。それに対し和也たちはお互いに顔を見合せ

「…進路のことで呼び出されたんだよ。」

深い溜め息をついて陽介が答えた。その言葉に俺たちは唖然としてしまった。