公園に着くと

「懐かしいな…小さい頃、良くここで遊んだよな。」

周りを見渡しながら龍司が俺に話しかけてきた。

「ああ、そうだな。あの頃と全然変わらないんだな…」

俺の脳裏に小さい頃の面影が映った。


小さい頃、親父が休みの日はいつも俺と龍司に付き合ってこの公園で遊んでいた。仕事が忙しくて疲れているはずなのに必ず俺たちの相手をしてくれていた。

「……」

今でも覚えている。楽しかったあの日を…。

「「「皐!!」」」
「!?」

俺が面影を見ていると突然、龍司たちは心配した表情を浮かべ大声で俺の名前を呼んだ。

「なっ、なんだよ、意気なり大声で…」
「…お前…大丈夫か?」
「へっ?」
「皐、泣いてる…」
「!?」

和也の言葉を聞いて俺はそっと自分の頬に触れてみると涙がつたっていた。

「…っ…俺、なんで…」

なぜ、泣いているのか自分でもわからなかった。ただ、止まらなかった。そんな俺を優しく包み込むように龍司が抱き締めてくれた。

「龍…司?」
「大丈夫…大丈夫だから…」

俺の気持ちを察したのか龍司はずっと抱き締めていてくれた。

「「……」」
「悪いな…今は、まだ聞かないでやってくれないか?」

心配そうに俺を見る和也と陽介に龍司は申し訳なく言った。それに対して2人は

「わかってるよ。お前らが話してもいいって思えた時に聞くから。」
「そうそう!気にすんなよ。」

優しく微笑んで言ってくれた。そんな2人に俺たちは心から“ありがとう”と2人に告げた。


理由を話せない訳じゃない。ただ、今は受験でみんなに余計な心配をかけたくないだけ…。俺たちの痛みの理由…今は、まだ話す時期じゃなかった。