それに対し


「こいつの親戚が旅館を経営してるんだよ。だから大丈夫なんだ。」

軽く笑みを浮かべて和也が答えた。その言葉に俺と旅館は口を開けたまま驚いていた。

「マジか…」
「うん、だからみんなで行こうよ!」

笑顔で陽介が言うが

「そしたら頑張って終わらせないとな。」

すかさず和也が言い返し陽介は口を閉ざしてノートと向き合った。

それから俺たちは黙々と勉強を続けたのだった。


そして、数時間がたつと

「くぅ〜」

疲れたのか龍司たちは腕を上に上げ伸びをした。

「こんなに勉強するなのは初めてかもな。」
「ああ、俺もだよ。」
「案外疲れるんだな。」
「……」

3人の会話を聞いて俺は情けなくなってしまう。

(こいつら…学校に何しに行ってるんだ…)

呆れながらも俺はまだ会話を続ける3人からゆっくりと離れキッチンへ向かった。

「でも、皐がいなかったらこんなに早く終わってないかも。」
「だな。俺たち一人でやったら時間かかってたと思う。」
「皐に感謝だな。」

龍司たちの会話を聞きながら俺は昼食を作る。それに気づいたのか背後から誰かが近づいてきた。

「皐?何作ってるんだ?」
体をくっつけて俺の手元を見ながら龍司が問いかけてきた。

「昼食…腹減ってるだろ?」
「ああ、言われてみればそうだな」

ははっと笑いながら龍司が言った。そして、素早く焼そばを作る。

「なんかいい匂いがする。」

クンクンと嗅ぎ陽介は目線を俺の方へと向けた。

「みんな、一旦宿題は辞めて昼食にしよう。残りは食べ終わったらやればいいから。」

龍司と2人でテーブルに運び一人一人の前へ置いていく。