数時間後、なんとか落ち着いた俺たちは勉強を始めた。

取り敢えず一番心配な陽介の隣に座り残りのを俺は進めた。

「……」
「「「……」」」

真剣に進めていく俺に対し龍司たちの手の動きはなぜかゆっくりだった。

「…お前ら…わからないなら聞けよ。」

呆れながら言うと

「じゃあ、ここ教えて?」

唸りながら陽介が質問してくる。

「どれ?」

陽介の数学のプリントを俺は覗いてみると

「…お前…これ…最近習ったやつじゃないか?」
「だって…わかんないんだよ…」
「陽介…お前ちゃんと授業聞いてるか?」
「…っ…」

俺のさりげない質問に陽介は黙った。

(…聞いてないのか…)

「たくっ、授業中なにやってるんだよ。」

呆れながらも俺は丁寧に陽介に教えていく。

「「……」」
「なぁ、龍司。」
「んっ?」
「お前、皐に勉強教わってたりする?」
「えっ?ああ、たまに…」

「じゃあ、なんで俺と同じ成績なんだ?」

突然、和也が龍司にそんなことを質問していた。

「…あのな…教えてもらってるからって成績があがるとは限らないぜ?」
「……」
「和也、龍司はその時しかやらないんだよ。だから成績が変わらないんだ。」

無言になってる和也に俺が答えた。

「はぁ、大変だな。」
「ははっ、でも運動では龍司の方が上だからな。」
「へぇ〜。」

手を動かしながら俺たちは会話を続ける。そして、一時間がして

「なぁ、この宿題が全部終わったらみんなで旅行行かない?」

突然、陽介がそんなことを言い出した。

「旅行って…俺たち学生だぞ?親が許さないだろ。」「大丈夫だって!」
「お前…なんで大丈夫だって言い切れるんだよ。」

余裕で言い切る陽介に龍司が聞き返した。