「…うーん…やりたいこととかないしな…」

「確かに…。でも、いい加減決めないと卒業式近いからさ…」

「だよな。なぁ、散歩でもしようぜ?」

パンフレットを置き突然そんなことを龍司は言った。

「はっ?」

突然の龍司の提案に俺は気が抜けた声で聞き返してしまう。

「だから…。散歩だよ。そんな悩んだままで何も考えられないだろ?だったら気晴らしに外の空気でも吸いに行こうぜ!」

俺の肩を叩き笑顔でそう言った。しかたなく俺は、龍司から貰った差し入れを母に預け外へととびだした。

「うーん、いい天気だな。」

背伸びをし大きく深呼吸をしながら龍司は言った。

「そうだな。夏の日にこんないい天気なのは久しぶりかもな。」

空を見上げて俺も答える。しばらく歩いていると向こうから制服を着た2人の男が歩いてくる。

「…なぁ、龍司。あの制服って…」

2人組を見ながら俺は龍司に問いかけてみた。

「んっ?ああ…確か、桜原中じゃないか?」

龍司も俺につられ2人を見ながら言った。すると俺たちの視線に気づいたのか男の1人がこっちに駆け寄ってきた。

「なぁ、お前たちさ。この辺の人?」

無邪気に微笑みながらそいつは俺たちに問いかけてきた。