軽く指で押し膨らみを確認すると直ぐに大きな皿に置きリビングへ戻ると

「すげぇ!めちゃくちゃ甘い匂いがする!」

まるで犬みたいに尻尾を振るような勢いで立ち上がり陽介が叫ぶが

「陽介!お行儀悪いから!ちゃんと座れ!」
「…はい…」

直ぐに和也に怒られ大人しく腰を下ろした。

((なんか…兄弟みてぇ…))

俺と龍司は同じことを考えていたのか深い溜め息をついて2人を見ていた。

「とっとにかく落ち着いて座って陽介。今、置くからさ。」

優しく陽介に言いカップケーキをのせた皿をテーブルの真ん中に置いた。

「「「……」」」
「?」

(えっと…なんで…みんな…急に黙るんだ?)

突然、静かになった龍司たちを見て俺は何故か少しずつ不安になっていた。そんな俺に気づかず

「「すげぇ…」」
「♪」

和也と陽介が小さく呟き龍司は無言のまま嬉しそうに目を輝かせていた。

「えっと…お二人さん?今、何かおっしゃいました?」

恐る恐る敬語混じりに2人に聞き返したがそのまま3人でカップケーキを一口食べてしまった。

(なんなんだよ…)

深く溜め息をつきカップケーキを手にすると

「「「美味しい♪」」」

3人は満面な笑顔で言った。そして…

「なぁ、皐。他にはどんなの作れんの?」

キラキラした目で俺を見て陽介が突然問いかけてきた。

「うーん…一応、和菓子と洋菓子はなんでも作れるけど…」
「マジ?」
「あっ、ああ…。」

陽介の威圧感に俺は思わず距離をおいてしまった。