そして、トレーを持ってまた歩き出す。


来栖くんは天使の彼には目もくれず、私を心配そうに見つめる。


「どーした?店員とトラブってた?」


「ううん……」


「なかなか帰ってこないから、心配した」


そう言って、来栖くんは私の両手をそっと握りしめた。


驚いて手を離そうとしたけど、来栖くんはじっと私を見て、


その手を離してくれることはなかった。


「……美衣、こんな所でなんだけどさ」