「ついたよ!!行こっ!」


掴んでいた手を離し勢いよくドアに向かって走った。

そんなに焦らなくても…

何気にショックだし。


てか、家の鍵は俺が持ってんだから先に行ったって入れねぇのに。

そういうとこ抜けてる。


『矢耶。こけるなよ』


俺もエレベーターを出た。

ポケットから鍵を取り出しながら携帯が震えていることに気付く。


『矢耶、ちょっと待って』


先を歩いている矢耶の腕を掴んで止まらせた。

くるっと振り返りびっくりしたのか掴まれた腕を見ている。


『怒ってねぇから、ちょっと止まれって。電話なんだよ』

「はぁーい」


素直に立ち止まった。

腕を引っ張り矢耶の身体を引き寄せた。


「ちょっ………!」

『静かにしろ電話なんだから。』

「理不尽だ…………」


なんかぶつぶつ言ってるけど無視して電話に出た。