「………………」


困った顔をする矢耶。


『矢耶―――――……』


すがる様に懇願する様に名前を呼んだ。

頬を撫でていた手を後頭部に移しぐっと矢耶を近付けさした。


「……っ…………」


矢耶は驚きのあまり言葉を詰まらせた。


『頼むから。矢耶』


もう最後の方は小さすぎて声にすらなってなかった。

おもいっきり抱きしめた。

矢耶が潰れてしまうんじゃないかと思うほど…

決して逃さない様に…


「わっわかったょ――…矢耶こそ意地はってごめんね。お兄ちゃんもひどいこと言ってごめんね。嘘だからね?藍のこと許すから。やめてって言ってたけど、藍の気持ちがわかったから。だからもう言わない」


矢耶は倒れる様に体を俺に預け、その細い小さな体で俺をぎゅっと抱きしめた。

俺の抱擁に答えるかの様に腕に力を入れ力いっぱい抱きしめ返してくれた。