「ねぇ、聞いてる?」


矢耶が俺の腕を揺する。


『あぁ、聞いてる』

「ほんとに聞いてんの?!じゃぁやめてよ!」


今は何を言っても、何をしても、聞かないだろうな。

相変わらず不機嫌な矢耶。


『確かにいつも言われてるけど今回は仕方ないだろ。お前は何も分かっちゃいねぇ。
矢耶をいろんなやつの目に映らせたくない。出来ることなら閉じ込めておきてぇよ。』


何か俺が不満言っちゃったよ。

こんなこと矢耶に言ってもどーしようもねぇのに。

ただの八つ当たりだ。


「そんなこと聞きたかったんじゃないのっ!」


案の定もっと怒った矢耶。

俺の服の裾をギュッと握り見つめてくるその目に吸い込まれそうになる。

むしょうに抱きしめたくなる。


「もう、知らないっもう、怒った。もう、喋らない!………あ………ぉ………なんて……………藍なんて……」


おぃおぃ。

待て待て。

それ以上は聞きたくねぇ。てか、言うな。

もしかして、もしかすると…


『わっ分かったよ。矢耶に嫌な思いをさしちまったのは謝る。ごめんな。けど俺が悪いとは認めねぇ』


どこまでも頑固な俺。