「いや、だって、なぁ?」


梁翔さんが俺に話をふる。

やめてくれ。

俺にまで被害がきてしまう。


「梁翔も藍飛も…いつも―――…」


ほら、姉貴からの攻撃が…


「ねぇ、店員の人、そんなに藍のこと見てたの?」


姉貴の言葉を遮って矢耶が俺らに聞いてきた。


「ねぇ、ほんと?」


いや、梁翔さんナイス!

矢耶が興味を示した。

結果オーライだな。


「そうよ。梁翔も藍飛もここに居る女達から視線が送られてるのよ。」


なんか言い方が刺々しいな。

姉貴って梁翔さんのことは敏感なのに自分のことは鈍感だよな。

そりゃぁ梁翔さんも苦労するぜ。

けど、男どもの熱い視線を注がれてるのには矢耶も姉貴も気付かないのか?

矢耶は自分には超鈍感だし、周りのことにも鈍感だ。

俺の方が苦労してるな。


『矢耶。気にするな。俺はお前だけ。矢耶こそ気をつけろ。さっきからいろんな男がお前を見てんだから。』


矢耶の頭を撫で、ここに居る男どもに見せ付けるかの様に矢耶にそっと触れるだけのキスをした。