早紀江の事があってから美波はより接客を気にしていた。

小沢からは、売り上げや指名はもちろん身だしなみまで、事細かに言われている。

美波と早紀江が友達同士であることや、百合とも仲が良かった事も含めて気に食わないのだろう。

(あたしに対して厳しくなっている。というより、今度はあたしの事に目をつけてる。)


『ねー百合ちゃん。なかなか指名とれないんだよ。どうすれば良いんだろう。頑張ってはいるけど、あたし素股も騎乗位の素股苦手なの。』
『そんな事ないですよ。あいちゃんまだ半年位なのにもう指名の人いるじゃないですか!指名も普通は百人入って、ようやく一人の指名が入れば良い方なんですよー!』

今小沢に厳しくされている美波にとって、百合ちゃんの言葉はありがたかった。
ピピピッ


《この間はごめん。酔いすぎた。ちゃんと話しよう。ヤス》
《新宿で12時に待ってる。美波》

ヤスに会うのはもう三週間はたっていた。

『百合ちゃんありがとう!あたし今日はあがるね!』

『はい。あいちゃんお疲れ様です!頑張って下さいね!』


あたしは今日の稼ぎの二万一千円を握りしめ、急いで新宿に向かった。