あたし達はヤスの部屋で、早く眠れるようにとお酒を飲んだ。
そしてまた話をする。
お互いを知らなかったあたし達はただ、ひたすらに話をしてた。

『ヤス、あたしもシャワー使っていい?あー歯ブラシ忘れた!!』

『うん、歯ブラシ俺の使っていーよ!彼女は嫌だっていうけど、俺平気なんだよね。』

『そりゃそうだ。でも買いにいくの面倒だから借りちゃうね。』


見なきゃ良かった。
当たり前の事だったけど2つ並んだ歯ブラシは、仲良くブルーとピンクのお揃いの色違いで、胸が少しチクリと傷んだ。
洗面台に並ぶ歯ブラシも、無造作に置かれたヘアゴムもヘアピンも、どれもヤスの部屋にはあって当たり前の物だらけだ。

それを捨てるなんて無粋な真似、死んでもできない。


その日のセックスの前にヤスは言った。
『俺達体の相性良いよね。』

あたしは答える間もなかった。
確かに彼と私は相性が良さそうだ。