泣いた。
あたしはこれでもかって泣いた。
ひとしきり泣いた後で、これだけ世界は違って見えるんだと思った。


すれ違う人が皆幸せそうで、何であたしこんなに不幸なのかわからない。

胸の奥が苦しい。
キューッとしめつけられて、呼吸をするのが精一杯でひっくひっくと喋れない。

酒井 美波。
22歳。
本職ただの事務職員。
副職ホテルヘルス。
たった今、あたしは失恋した。
何年ぶりの失恋かわからないけど、軽く四年はたってるはず。


好きだったよ、本気で好きだったよ。
あなたがいるから美波は生きていたんだよ。