……あっという間にもう明日で終業式だった。
本当に早かった。
また夏休みもバイト三昧なんだろうな…
『おい、鈴木』
こう僕を呼ぶ人。
数学の先生だ。
『何すか?』
『お前ちょっと休みが多くてな。だから夏休み補習あるから』
『まじっすか?』
『ああ、明日からあるからな』
補習!?めんどくさ…
夏休みじゃないし…
まぁ僕が休みすぎだからだけど。頑張ろう。
『じゃあ、良い夏休みを』
先生が締めくくりの言葉を言う。
みんな楽しそうに帰って行く。
でも僕は今から補習。憂鬱だな…。
でも補習は僕だけじゃなかった。
他のクラスの人も結構いた。
良かった。
僕は南側の席に座った。
何故そこに座ったかって?
この席からテニスコートがよく見えるんだ。
百合が見えるんだ。
とても遠いけど、でもそれだけで十分だったんだ。
今は何も出来ないから。
百合は安里と付き合っているから。
だから僕は百合を遠くから見てるだけしか出来ないんだ。
『鈴木!!ちゃんと聞いとれ』
先生に何回怒られても、僕はテニスコートを見つづけた。
でも嫌な光景を目にする事もあったんだ。