『嘘つけって!1』

歩が声を張り上げる。

『嘘じゃない。』


『…もしそれが本当なら後悔すんなよ』


後悔…


後悔なんていくらでもする。


…もう少しで一年生が終わろうとしていた。


ホームルームの時間、僕達に配られた一枚の紙。



『みんなあるよね?』



その紙にはこう書かれていた。


《一年を振り返って》


『質問に答えを書いて提出ねー』


書き始める僕達。
教室にシャーペンの音が広がる。


《1、 一年生はどうでしたか?》



《楽しかった。》


《2、何が楽しかったですか?》


《あの人に会えたから》


《3、努力した事は何ですか?》


《何もない》


《4、二年生は何をしたいですか?》


《人を愛したい》



《5、最後に感想を書いて下さい》



僕の動きが止まった。
何を書けばいいのだろう。



僕はこう書いた。



《君は誰を好きでしたか?》



ただそれだけ。



『書けた人は小林さんに出してー。』


みんな百合のところへいく。



僕も立ち上がった。
そして百合の席へと向かう。



『……………』


百合と目が合った。



でも僕はすぐ視線をそらした。


百合の机に紙を置いて去っていく。



百合…君は誰を好きでしたか?