―時は過ぎ、冬休みが終わった。
僕は学校で百合をみるとまだあの感覚で襲われるんだ。
あの百合を見た時と同じ感覚。
ドクン…ドクン…
僕は何も変わっていなかった。
弾む心臓も、赤くなる頬も。
毎日この感情を抑えた。
誰にもバレないように必死に…。
でも歩や沙紀にはバレてしまうんだ。
『優…後悔してるんじゃねぇの?』
『後悔?』
『優はまだ百合を好きなんじゃねぇの?』
『俺が?んな訳ないだろ。俺もうあいつに呆れたんだ』
『でも体は正直だろ?』
確かにそうだった。
百合を見る度僕の鼓動は動きだす。
僕は百合が好きだった。
嘘をつかれても、ひどい事をされても,
僕は百合が好きで仕方がなかった。
『優の顔を見てるとさ…あの頃と変わらねぇんだよ。』
『あの頃?』
『そう。あの頃。入学したばっかりの時。優が百合を見つめてる時と変わらねぇもん』
自分では分からなかった…
僕は変わっていなかったんだ。
僕は自分では変わったと思ってた。
でも変わってなかったんだ。
『歩…やめてくれ、もう百合を思い出したくない…』
『百合がまだ好きなんだろ? 毎日百合を思い出してるんじゃねぇの?』
『…………』
『おい!!優!!!』
『………俺は百合を好きじゃないんだ…』