僕は完全に百合から離れた。
自ら…。
―バタン・・・
百合との距離を遮るドア。
僕は家の中に入った。
百合ごめん…
あんなひどい事をして…
あんなひどい事を言って…
百合…ごめん……
外は雨が降っていた。
この雨は僕の心の涙のように、この空は僕の心のようだった。
それから何日も雨が続く。
最悪の誕生日だった。
僕はそれから毎日バイトしたり遊んだりしていた。
知らない女とも寝た。
でも必ず比べてしまう…
あの時の百合と。
百合は一つになったとき涙を流していた。
人をこんな愛しいと思ったのはなかった。
百合以外の女は、一つになっても泣かない。
泣いたのは百合だけなんだ。
まだこんなにも僕の中には百合がいる…
百合は今歩き出しているかもしれない。
僕は何も出来ないまま、毎日が過ぎていく。
僕は、前に進めないまま、止まったまま、立ち尽くしている。
僕は、百合に心の中でしか謝る事しかできない。
謝るなら最初からしなければいいのに、この時の僕には考えられなかった。