ドクン…

ドクン…

僕の鼓動が加速する。

人と目が合うだけで、人はこんな風になるんだ。

忘れかけていたかのように思いだす。

人を愛するというこの感覚。


どうしてだろう?

それは君だからかな…

他の人だったら、こんな風にならないのかな。

僕は君に惚れているから、こんな風になるのかな…

僕たちは少しの間、見つめあった。


この時間だけは、幸せだった。

彼女はにこっと笑って先生の方ををみた。

僕は嬉しくて手が震えた。
僕の鼓動がまだ高鳴っている。



『おい優!!優ー?おいって!!』


『はっ?何?』

僕は歩の声で現実の世界に戻ってきた。

『お前まだ眠いんじゃねぇの? 学級委員決めるんだってさ』

『は?そうなの?やらねーし』

『だよな~』


『誰かいないの?』

林先生が今にも怒りそうな声で言ってきた。

だが、誰も何も言わない。


………シーン……

教室は不気味なくらい静かだ。


『困ったなぁ…仕方がない、くじで決めましょ!!』

もちろんクラスの反応は、
『えー』という反応。


『だって誰もやらないじゃない?』

先生は間違っていない。


『今からくじ作るから待ってて!!』

先生が気合を入れて、腕まくりをし、いらない藁半紙でくじを作っていく。


……そして10分後。



『完成!赤で当たりって書いてあったら当たりだから!! 男女一名ずつね。
こっちの箱が男子、こっちの箱が女子だから!
取りに来て?』


先生の言葉で一斉に動き出すクラス。


僕と歩も取りに行った。



『はぁ~…良かった!
俺セーフ…優は?』



僕は4つに折られた紙を開いていく。



『………当たり』