気が付けばもう8月。
夏休みだ。
蝉の声がとてもうるさくてイライラする。
百合との交際は相変わらず順調。
もうすぐ百合と付き合って4ヶ月の記念日が来る。
4ヶ月の記念日の8月27日は百合の誕生日と同じ日なんだ。
僕はその日百合の家で泊まる事になっている。
プレゼントを持って。
プレゼントは何にしようか迷ったけど、ペアリングにする事にした。
指輪に僕の名前と百合の名前を刻んで。
百合はどういう反応をするかな。
百合は喜んでくれるかな。
27日がすごく楽しみだ。
それにしても暑い。部屋を出たくない。
でも今日は久しぶりに百合と遊びに行く日。
僕はまだ眠たい目をこすりながら下へと下りた。
『優おはよ』
『おー』
リビングにいたのは、姉の幸だ。
幸は百合の事を知っている。
一回僕の家に来た時紹介したから。
幸には何でも話せる。
まじ最高の姉だ。
『今日も遊びに行くの~?』
『うん』
僕は冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出し、ガラスのコップに注ぎながら、幸の質問に答える。
『どこ行くの?』
『都内の水族館』
『いいな~』
『幸は?旬君と遊びにいかないの?』
夏の麦茶は喉を勢いよく流れていく。
『旬は…忙しいから…ね』
旬君とは幸が大学に入った時に出来た彼氏。
旬君は医大生でなかなか会えないらしい。
ふと時計に目をやると、8時時半。
ヤバイ!!
百合との待ち合わせは駅に10時。
僕は急いで顔を洗って、急いでご飯を食べて着替えをした。
何着て行こう…と手に取った服を着た。
携帯と財布を持って家を出た。
駅まで30分かかる。
家を出たのは9時25分。
ギリギリ間に合うかな…
僕は急いでいたから気付かなかった。
あの人の存在。
滝川先輩。
そこに百合もいたなんて気付きもしなかった。
僕はホントにバカな人間だ。