百合がいない毎日が、過ぎていく。


もう卒業が近付く。


僕は今日も学校にいた。
百合がいない学校に、僕はいる。


そんな毎日が当たり前になりつつある僕が嫌になる。百合を忘れたくない。



『優?お前受験するの?』


『あぁ…何で?』



『推薦でもいけたじゃん!!何で?』



『俺は試したいんだ。自分の力を。百合との約束を、守りたいから』



『そっか…小林はすごいな。優をこんなにも変えるんだからさ』



『百合は俺の太陽だから』


今も変わっていない。


百合は僕の太陽だ。


そして今日も僕はここにいる。



『ねぇ、百合…俺不安なんだ。受かるかなって…
大丈夫だよな』


空に向かって話すんだ。
百合に聞こえるように。
すると風が吹くんだ。
百合が答えてくれるように。


『百合…聞こえる?』



『どちら様かしら?』


誰かに声をかけられた。
そこには、優しそうなお婆さんが立っていた。



『えっ・・』



『ここは私の場所なのよ』


『あっ勝手すいません…』


『いいのよ、いいのよ。
あなた毎日ここに来てるわよね、嬉しいのよ』


皺くちゃな顔をしたお婆さんの笑顔は、
僕の中を癒してくれた。


『俺…ここ好きなんです』