百合のプレゼントの指輪は、机の引き出しに閉まった。
もう開ける事がないように。
僕の携帯電話が最近よく鳴るんだ。
歩から《大丈夫か?》
沙紀から《また元気になったら遊ぼうね》
安里から《優…元気だせよ》
ナナから《優?すごく心配》
和樹から《泣くなよ》
瞳から《空を見上げたら、すっきりするよ》
みんなからのメールで、最近やっと落ち着いてきたんだ。
ありがとう…
―ピーンポーン…
家のチャイムが鳴る。
今日は母さんがいない。
幸もいない。
家には僕ひとりだけだった。
『…はい』
僕は玄関に向かった。
ドアを開けるとそこのは一人の女性が下を向いて立っていた。
『おばさん…』
『優君…今大丈夫かしら…』
その女性は百合のお母さんだった。
『はい…上がりますか?』
『いいのよ、今から出てこれるかしら?』
『はい大丈夫です…』
『じゃあ…ついてきて?』
僕は鍵をかけ、言われるままに、おばさんについていった。
そして着いた先は、百合の家だった。
『上がって?』
『おじゃまします…』
向かった先は、百合の部屋。