『…なぁ…幸…』
『なに?』
『この胸の穴はなんだろう…』
僕は胸を押さえた。
『………』
『この穴の存在は百合なんだ…』
『うん…』
『この穴は百合で満たされる。他の誰でもない』
『…そうだね』
幸は潤った目をして、いつまでも優しい笑顔で僕を見つめていた。
『幸…俺百合を幸せに出来たかな?』
携帯の中に保存されている百合の写真をもう一度眺めた。
『出来たよ…』
『何故…そう思う?』
『だって…その携帯の写真見れば分かるよ』
『この写真?』
『二人共いい笑顔してる。百合ちゃんのこんな笑顔…私見たことなかったよ?
それは幸せだから出来る笑顔なんじゃないかな?
優が出した、笑顔なんだよ…きっと』
『…………』
『百合ちゃんの笑顔の引き出しを開けたのは…
優…あなたよ?』
幸の言葉に涙が流れる。
『百合ちゃん幸せだったよ…絶対…優に愛されて…幸せだったと思うよ?
信じようよ…』
『…幸…俺…百合がいてくれれば幸せなんだ…
百合がいればそれでいいのに… もう無理なのかな…』
『優…?何言ってるの?
百合ちゃんは優の中にいるじゃない…笑顔の百合ちゃんが… 百合ちゃんは、
今の優の姿見たら…悲しむよ?きっと…』
幸は僕を励ましてくれた。僕の背中を押してくれた。
明日は…
百合とホントに最後の・・・お別れだ。