僕はどのくらい走っただろう?
着いた先は、学校だ。
百合がここにいそうな気がして、勝手に足が動いていた。
僕は教室のドアを思いきり開けた。



『百合…?』

教室から音すら聞こえてこない。
百合はここにいなかった。
僕は次に図書館へ向かった。
ここにも百合はいなかった。
屋上にもテニスコートにも。
どこにもいなかった。
そして僕は二人の秘密の場所に向かった。
やはり百合の姿はない。


『百合…』


僕は横になり、空を見上げた。
空にはキレイな青空。
雲ひとつない快晴。
僕の心とは裏腹な空。
そんな空が憎い。



僕の目から、涙が溢れてくる。


そして流れるんだ。
僕は笑顔を作った。



『あ~百合におめでとうっていいたかったな…
百合を抱きしめたかったな…
百合にキスしたかったな…百合に…
百合に…
ありがとうって言いたかったな…』



僕は小さく体を丸めて、声を潰して泣いた。



『運命なんて残酷すぎる…運命なんてなければいいんだ…
百合に会いたい…』


百合は、苦しかっただろう。
痛かっただろう。




泣いただろう。



僕が百合の代わりになってあげたかった…



百合の痛さは、僕の痛さだから。