僕の世界が、暗い世界へと変化した。



ただ頭の中には、《百合が帰ってこない》とだけ浮かんでいた。


この墜落の事について話しているテレビ。
ただ真剣に話しているだけで、ホントはどうでもいいと思っているニュースキャスター。

この日、僕の世界は止まった。



百合の誕生日に、いろいろ思い出作ろうとしていたのに。
僕は涙を流すだけしかできなかった。


『百合…なんで…頼むから…頼むから…戻ってきてよ…俺…百合がいないとダメなんだ…百合がいないと…ねぇ…百合…』


僕の言葉は、儚く散る。



《運命って信じる?》


百合が昔言っていた言葉。
もしこれが運命なら、僕は信じない。


百合がいない世界なんて、いらないから。
僕は百合がいないとダメなのに…
何故神様は悪戯をするの?


僕が嫌いなら、僕だけをいじめればいい。

何故関係ない百合を連れていくの…



百合は僕の太陽なのに…



空港内がだんだん静かになっていく。



そんな中、誰かの足音が聞こえてくる。



近付いてくる足音…
百合?
僕は期待するんだ。



『優!!!』