──…僕は百合と前に進んでいた。
―5月上旬
僕達三年生の頭に浮かぶモノは、《受験》
ただ二文字だった。
僕は何も考えていなかった。
『優~お前進路考えた?』
歩、食堂でラーメンをすすりながら聞いてきた。もちろん答えは決まっている。
『何にも…』
『だよなぁ~…沙紀は決まってるし~』
『沙紀、進路決めたん?』
『一応ね~パティシエになりたいんだ~だから専門学校!』
『パティシエか~沙紀お菓子作るの好きだもんな』
『だから太るんだよ…』
こう歩がボソッと言う。でも沙紀にはしっかり聞こえていた。
沙紀が歩の腹を殴った。すると歩の口の中に入っていたラーメンが吹き飛んだ。
『きたねぇ~…』
百合は進路とか決めてるのかな。
百合ならどこの大学も余裕で入れると思うけど。なぜならば、百合はまだ一位を守り続けているから。
すると百合が学食を持って僕の隣に座った。
『何の話~?』
『進路の話~』
三人、口を合わせて言う。
『小林はもう決まってんの?』
歩に先に越された。
『え~…』