百合ともう離れなければならなかった。



百合が僕の前から去っていく。



『百合…もうすぐだね?』



『そうだね…』



『寂しい…』



『あたしも…』



『連絡ちょうだい?家ついたら』



『私…優君の連絡先知らないよ?』



僕は百合と別れた後、携帯を変えた。

もちろん百合には教えていなかった。



―まもなく二番線に電車が参ります。ご注意下さい。


アナウンスが流れる。


もう教えてる暇なんかない。



『どうしよ…』



『私…アドレス変わってないから、昔の携帯使えるなら、それみて送ってきて?』



『あっうん、ごめん』



『じゃあ、行くね…』



僕は電車に乗る百合の手を引っ張った。


『忘れモノ!!』



僕は百合の口に軽くキスをした。



そしてキスをすると、百合を押した。


その瞬間、電車のドアが閉まった。


電車の中で、驚いている百合。


僕は笑って、手を振った。



百合も手を振り返した。



百合が、僕の前から離れて行った。



僕は電車が見えなくなるまで、ずっと立っていた。



僕は何も変わっていない。


百合を好きな気持ちは、


少しも変わっていない。