空には月も見えはじめていた。
僕達は学校から出て、百合を送りにいった。
百合を最後に送りに行ったは、一年以上も前の事。
でも僕の足はちゃんと覚えていた。
体は、何もかも覚えているんだ。
僕と百合の手が絡まる。
百合の体温が僕へと伝わってくる。
『ねぇ…優君?』
『ん?何?』
『今日…何の日か覚えてる?』
僕は知っていた。
でもわざと言わなかったんだ。
『分かんない』
『もぉ~!!今日は4月27日だよ?ほら、私達が初めて付き合った日』
『あっそうだね?』
『これって運命だと思う!私と優君は、なにがあっても離れないんじゃないかな?』
『当たり前じゃん?ずっと一緒だよ?』
『絶対一緒な!』
また百合の笑顔が僕のモノになった。
僕達はすごく遠回りをした。
でも遠回りをした分、
誰を愛しているか、
気付かされた。
僕には百合だけ。
この時間は、僕と百合のためにあるモノだと、
勝手に思ってしまう程、
僕は百合を愛している。