『優…ありがとう…優がいなければ、私…』


『俺は何もしていないよ、全部ナナがやった事だよ。俺は見守っただけだよ…』



『ねぇ…優…見て?』



ナナは僕の前に腕を見せた。
ナナの手首にはもう傷がなかった。



『…ねぇ…分かる?優と出会っていなかった時、この腕にはね、傷がたくさんあったの』



『…うん、そうだったね』



『でも…今はなくなった。優と出会ってから、私は一回も自分を傷つけてない』



『…………』



『ねぇ…この意味分かる…? 私はね、ツラくて腕を傷つけていた。でも優と出会ってから傷つけていないの。 私が幸せだった、私は辛くなかったっていう証拠』




『ナ…ナ…』



僕は堪えきれず泣いた。



『優…私は幸せだった。あなたに出会って、あなたに愛されて…とても幸せだったの。世界一幸せだった』



『ごめ…ん…』




『謝らないで?優…感謝してるのよ?怒ってなんかない…優…私あなたといて幸せでした。
次に愛す人を幸せにしてあげてね…』



『ナナ…』



ナナは立ち上がり、僕に今まで見た事のない最高の笑顔をした。




『優、ありがとう!!大好き!!』


最後にこう言って、ナナは帰っていきました。