空に浮かぶ、ぽつんと寂しそうな黄色い丸が、僕と百合を照らす。
『俺…最低だよな…最低すぎる。ナナを守るって…ナナの傍にいるって言ったのに、守れなかった…』
『…ゆ…う』
『ナナ…ごめんな…ごめんな…俺…謝っても許してもらえないと思う…恨んでいいから…俺の事…』
ナナがゆっくりと口を開いた。
『優…何言ってんの…?私が優を恨む訳ないでしょ?優はさ…私の命の恩人だもの』
『え…?』
『実はね、私少しだけ気付いてたの。優が離れていく事。優…最近私の前で見せる笑顔…作り笑顔だったもんね…』
ナナは気付いていたんだ。僕の笑顔が作り笑顔だという事に。
『でもね、私…気付かないフリしてたの、もし言ってしまったら、優は私の前から離れて行くって思って。 少しでも優と一緒にいたいって思ったの』
『……うん』
『優…私幸せだったよ?幸せすぎたの。優が初めて私を受け入れてくれたから。 優が初めて私の過去を最後まで聞いてくれたから』
『…………』
『優…私はあなたに感謝しなくちゃね。私あなたのおかげで、忘れかけていたモノが、思い出されたの。
友達の事とか、幸せの事か』
『…ナナ…』
ナナは、強くなったね。