屋上からみた空には、星がひとつもなく、ただ暗いだけだった。
『ナナ…』
『優…』
ナナの目にはもうすでに涙がたまっていた。
『ごめんな、こんなとこに…呼び出したりして…』
『ううん…いいの』
『ナナ…答えがはっきりしたよ』
『聞かせて…?』
手が震えていた。
ちゃんと伝えられるかな…
ちゃんとナナに伝えられるかな。
『ナナ…俺の心には、二人の女性がいた。
ナナと百合…でも、俺はナナしかみていなかった。ナナを守ってあげたいと思っていた』
『うん…』
『でも…百合と同じクラスになって分からなくなったんだ。自分の気持ちに』
『うん…』
『百合を目で追っている自分がいたんだ。それは最初ただ元カノだからってしか思わなかった』
『………』
ナナは何も言わなくなった。
次第に泣いている音が聞こえてきた。
でも僕は話し続けた。
『でも…日を追うごとに…百合への気持ちが増えていった。百合を忘れれなかった。ナナと手を繋いでいる時も…出てくるのは百合ばっかりだった…百合が消せなかった…』
『………』
僕はのどに込み上げてくる何かを必死に抑えた。