僕の心の中にある天秤は、百合とナナが乗っていた。
昔はナナの方に傾いていたのに、今は百合の方に傾いている。
これが…僕の正直な気持ちなんだ。
僕の気持ちが見えた。
はっきりした。
ナナに百合に…
言わなきゃ…
でも、僕はまだ言えなかった。
答えが見付かったのに、僕の体が動かない。
多分、僕は恐れているのだと思う。
ナナが泣くんじゃないかって。
ナナを悲しませるんじゃないかって。
でもナナに言った。
はっきりしたらナナに言うと。
それまでナナは待っていてくれている。
だからナナに言わなきゃ。
でも僕はこの答えを初めに聞いて欲しい人がいる。
僕の事を心配してくれてる人。
僕はその人を家に呼んだ。
『悪いな…歩』
『あ?いいって、俺も気になってたし』
僕は歩を部屋に案内をする。
『初めて入った!何か意外なんだけど!片付いてて』
『うるさいって!!うるさくすると幸に怒られる…』
『幸?』
『姉!!』
『びっくりするし~新しい女かと思った』
『ば~か。歩…今から話すから静かに聞いてな…』
僕はゆっくりと話し始めた。