とりあえず僕は教室へ戻った。
袖で口から出た血を拭きながら。
僕はもう何も出来ない…
そんな気がしたんだ…
まだ授業は始まったばかり、静かすぎる廊下。
1年2組の教室へと向かった。
―ガラガラ…
ちょうど一時間目は担任の林先生の古典の授業だった。
今日初めての授業だから、先生は、授業の進め方について話をしていた。
『鈴木君どうしたの? 口切れてるじゃない!!』
『大丈夫です、席着いていいですか?遅れてすみません』
『大丈夫? まぁいいわ。今度から気を付けて』
僕は椅子を引き、授業に参加した。
『優?どうしたんだよ?あの朝の奴とケンカしたのか?』
心配した歩が、振り返り、僕に事情を聞いてきた。
『うん…まぁ…』
『大丈夫か?』
『余裕!』と言って笑ってみせた。
それを見た歩は安心した様子で笑って前を向いた。
ホントは大丈夫じゃない。
心はもうボロボロだったんだ。
百合がこっちを見ていた。
僕はそれに気付く。
目が合う…
『鈴木君どうしたの?』
『……別に』
そっけなく返事を返した。
僕は百合と喋る資格はない。
もう…喋らない。
僕と百合の距離はさらに遠くなった。
ここから僕は百合を避け始めたんだ
百合…僕はまだ君を守れない…
君を好きではいられないんだ…
僕は自分の気持ちに嘘をつきはじめたんだ。
ごめん…百合…