おそるおそる、後ろを振り返る…
そこにいたのは和樹だ。
『ちょっと来いよ』
和樹は明らかに怒っている。
どうしたんだろう?
『何だよ?』
僕達は中庭に向かった。
あの初めてヤキモチを妬いた場所。
『お前…小林とどうなってんだよ』
『は?どうもなってねーし』
『嘘だろ?昨日聞かれたんだ。』
『何を?』
『お前のアドレスだよ』
百合は昨日和樹にアドレスを聞いたんだ。
『小林が昨日お前とメールしたいからって聞いてきたんだ。 何でだよ!?何で聞いてきたんだよ!!』
『…知らねぇよ』
『俺しょうがなく教えたんだ。 そしたら何て言ったと思う?! ありがとう、これでメールができるって言ってきたんだ。 意味分かるよな?もう小林は俺の事を好きにならない』
『………』
『優!!お前ちゃんと返事したよな??』
『…してない』
僕は生唾を飲み、足元に視線を落とした。
『はっ??』
『してないよ。来たけど消した。お前に悪いと思ったから』
『意味わかんねぇよ』
次の瞬間…和樹の拳が僕の顔に当たった。
世界が、スローモーションのように動く。
気がついたときには、僕は倒れていた。
『いいかげんにしろ!!お前どれだけやれば気がすむんだよ!! お前がやった事は俺と小林の二人を傷つけたんだぞ?! お前にはもう呆れた』
和樹は去って行った。
僕は呆然とそこに座っていた。
プロレスのゴングのように、
─キーンコーンカーンコーン…とチャイムがなる…
その音で授業が始まる…
そんなどころじゃない…
もう無理だ…
二人を傷つけた?
俺が?
ごめん…ごめんな…
百合…僕は君を幸せにはできない…