幸は何で、僕が恋してると分かったのだろう?

顔に出やすいから?


バスに揺られながら、こんな事を考えていた。


そして、学校に着いて気付いたこと…

それは昨日のメールの事。

百合から来たメールを返してない…


会いたくないな…


下駄箱で靴を履き替えていると、歩に会った。

『おっは!優』

『おー』

『朝からテンション低いなー』



『そんな事ないよ』


二人で教室に向かった。


教室には楽しそうに話す百合と沙紀とクラスの子。


今覚えば僕は百合と沙紀以外の女子と話した事がなかった。


僕は積極的じゃないし、無口な方だから別にいいんだけど。


『あっ歩ーおはよ』



『おっす!沙紀おはよ』



相変わらずラブラブだな…


『鈴木君もおはよ』



『おはよ。水島さん』


『てか言おうとしてたんだけど、水島さんって呼ぶやめてくれない?もう友達じゃん? だから沙紀でいいよ』



『優、惚れたらぶっ殺す』

『分かった』



『少し仲が深まった気がする!』


『ずるーい』

すると百合が少し頬を膨らませ、こちらに歩いてきた。


『鈴木君おはよ!私の事も百合って呼んでよ!』

『えっ?』


『そっちのが呼びやすいでしょ?』

『うん…まぁ。』

『決定ね!』


素直に嬉しかった。


僕はこれから百合の事をちゃんと百合と呼べる。


こんな単純な事でも嬉しい。



『おい!優!!』


僕を廊下から呼ぶ声がした。