ナナの部屋をよく見渡す。
ベットにテレビに、机にソファーに本棚。
目立つ物はこのくらい。

『何にもないでしょ?』



『そんな事ないよ。すごく落ち着く』



『本当?』




『うん』


本当に落ち着くんだ。
周りにナナのものばっかりあるからかな。
本棚にはナナが好きな詩集がたくさんあって、テレビの上には沙紀が焼き増しをしてくれた沖縄での写真が飾られていた。


『優?何食べたい?』



『何でもいいよ~』



『分かった!』



『手伝おうか?』


『いいって。ゆっくりしてて?』



『でも悪いじゃん!!』




『私に任せてよ!』



『うん~…』

ナナはエプロンをつけ、料理を作り始めた。
ナナの役に立ちたかったな。
僕は仕方なくテレビを付けた。
テレビはほとんどクリスマスの事。
歩と沙紀は今頃鍋パーティかな。



百合は…何をしているのかな。
彼氏といるかもしれない。
隣にナナがいるのに何で百合の事を考えてしまうのだろう。



もう一年以上も前の事なのに。



僕は本当に最悪な人間だな。