ドクン…ドクン…
僕の鼓動はまだ鳴っている。
仕事に集中出来ない。
あんな百合のかわいらしい浴衣姿を見たら
あんなかわいらしい笑顔を見たら僕の鼓動は止まってはくれないんだ。


ナナ…君に隠し事が出来てしまった。




―…午前の部終了。
午前の売り上げはまさに、絶好調。
このまま午後もいくといいな。


『優~!!一緒に行こー』

ナナが呼びに来てくれた。
俺はナナを見ると笑顔のなる。


『お~』



僕達は手を繋ぐ。



でも僕の心には、モヤモヤとした煙が覆っていた。



『どこ行く~?』


『え~。ナナが行きたいとこでいいよ?』




『ん~… ナナも行きたいとこなぁい』



『何それ?この前までは、あそこ行きたい、ここ行きたいって言ってたじゃん』



『だけど~…優がいればそれでいい!』



ナナ…
百合に会う前の僕だったら、君のこの言葉はすごく嬉しかったと思うんだ。



でもね…ナナ…
僕はずるくて弱い人間なんだ。



ナナといるこの時だって、百合の事を考えてしまう。



ナナ…でもこれは嘘じゃない。




僕の中の一番は君だよ。ナナ…