最後の入院のときにも旅行に行くと明るく言っていた茜

それから2週間後、茜の母親からの電話がきた

『あの子が旅立ちました』という言葉を理解することができなかった

俺は病院に行けば笑顔の茜に会える気がした

でもそこに笑顔はなかった

顔はまるですやすやと眠っているようだった

声をかければ起きる気がして、何度も名前を呼んだけど返事はなかった

俺は茜の死を受け入れたくなくて葬儀にも行かなかった