「これなんだけど…」



智也のお母さんが机に並べ始めた。



金融会社のカードと明細書。



残り250万




「智也はお金を借りてたの?」




『智也の先輩が智也を連帯保証人にして、そのままバックレたんです。だから智也が返さなきゃならなくなって。だけど給料だけじゃ足りなくなったから違う金融会社から金借りて返してたみたいです。でも気づいたら借金が600万まで増えてて…』



「……600万!?」



智也のお母さんは不安そうな顔をした。



『今は残り250万ぐらいだと思います。幸せになる為に三人で一生懸命返してました…―――』




そう。

幸せになる為に…。

だから…――




だから―――残り250万は私が返そう。




この時、強く、そう想った。





私は机の上に並べられたカードを一枚一枚手にとった。




「…どうしたの?」


智也のお母さんの優しい声。




『…残りは私が返します。』