10分も経たないうちに智也が来た。


智也は何も言わず、由香の頭をくしゃくしゃっと撫でながら由香の隣に座った。
そして一言


「辛かったな」


それを聞いた由香は声を上げ大泣きした。


「学校…ゥッ行くの…怖い…。」


私も智也も黙っていた。

由香の

怖いという気持ちも

辛いという気持ちも

むかついた気持ちも

大泣きしたくなる気持ちも

全て分かったから。

何も言わなかった。

「アタシ…ヒッ…何もしてない…」


「…うん。分かってる。いじめる奴は楽しんでるだけだから。」


智也の言葉が凄く優しい。


「う…ん」


「俺は一緒に学校行ってやる事出来ないけど、アズがいるから。」

「う…ん」

『由香は私が守るよ』

「ほら!男よりたくましいアズが言ってんだから間違いないよな!」

『もちろん笑』

「うん。アズうけるからぁ!」


3人で人目気にせず笑った。