右腕を引っ張られる感覚と、左足の激痛で気がついた。




私の見た光景は

いつの間にか土砂降りになってる雨と

遠くに見える暗い灰色の空。


車の前方右部分がグシャグシャで

救急車の音や人の声。

雨の音と車から出る変な音。




そして




智也がハンドルにもたれかかったまま動かない。



地獄に見えた。



隣を見たけど由香がいない。




「おい!大丈夫か!?」


誰かが私の右腕を引っ張り車から出そうとしてた。




『由香は!?由香は!??智也!!ねぇ!智也!!』



智也の体を揺すったけど起きなくて、頭から血を流してた。



「アズ!!」




私の右腕を引っ張り車から出そうとしてる人の後ろに由香がいた。




『由香!!』