由香は無言のまま携帯を取り出した。
雨の音は激しくなる一方で
灰色の雲が青い空を隠してた。
『電話で聞くの?』
「…。質問した時の智也の表情を見るのが怖いんだもん。」
由香は携帯の画面を見たまま固まっている。
『大切な事だから電話じゃなくて直接話した方がいいと思うよ?』
「アズも一緒にいてほしい…。」
『いいよぉ~!でも私は口をはさまないからね?』
私は第三者に当たる。
下手に口を出してはいけないと思った。
「うん。ありがとう。」
涙で崩れてしまった化粧の裏から少し笑顔が見えた。
その笑顔に私も笑顔で返した。