彼が私の手をぎゅっと握りしめ、顔を上げた私に言った。

「面白かったね!」

声に出して肯定できず、私は少し微笑んで頷いた。

「イルカ、きれいだった・・・」

正直言って、落ち込んだ。

いつかあの広大な海へ帰れることを信じて疑わないようなカレ等の生き生きとした演技は、私には、いつか飛び立てると信じて疑わない彼の姿に重なって見えたから。

だから、尚更強く思った。


彼の足枷にはなりたくない。

彼の可能性を手折りたくない。


つまりこの手を、放すべきなんだろうか・・・

目頭が、熱くなる。