(ユウキ)「別にいいんだけどね、龍巳バカだし、バカは言っても治らないって言うし」



クラスが認める「キングオブ馬鹿」龍巳に勇次は、同情はしていないが哀れに思っていると、

ユウキがある疑問を投げ掛けてきた。



(ユウキ)「それよりさ勇次君、もしかして勇次君さくらちゃんと親しい間柄だったりする?」



(勇次)「……」



不意に来た触れてほしくない質問に、勇次は一瞬立ち止まってまたすぐに歩き出した。



(ユウキ)「ニャ? あやしい反応」



ユウキは勇次のすぐ後ろを追いかける。

勇次は逃げるように早歩きになる。



(ユウキ)「なんでそんな早歩きになるのかな~」



勇次はそんな言葉に耳も貸さず、そのスピードのまま二人は校舎に入り、中庭を抜ける渡り廊下を進んでいく、

その間もユウキの執拗な質問が続いた。



(ユウキ)「名前で呼びあってたみたいだしさ~ どうもあやしいんだよね~」



(勇次)「……」



(ユウキ)「どうしてなにも言わないのかな? ますますあやしいよ」



(勇次)「……」



(ユウキ)「待ちなさい勇次君、答えるまでわたしゃー逃がさないよ‼」



(さくら)「そうだそうだ勇次‼ 止まりなさい‼」



なんか一人増えた。



―ズルッ‼バキッグシャッ‼―



不意のさくらの出現に、勇次は豪快にコケて角に置いてあるゴミ箱に頭をぶつけた。



(勇次)「なんでいるんだよ‼」



いったいどこから合流したのか、ユウキの後ろにはいつの間にかさくらがいた。



(さくら)「はあ? なんでって、「午後はこっちで仕事があるから」って汚ない軽バンに乗せられて来たのよ」



勇次は自分の不運を恨んだ。

なぜ今、この時この瞬間にさくらが現れるのか、まさに最悪だ。