(勇次)「まさか学校が心休まる場所になるとは思わなかったな…」



勇次が感慨に浸っていると、横から龍巳が話しかけてきた。



(龍巳)「勇次ぃーなにしてんだ? 2時限目は「専攻」だぞ? 早く着替えようぜ」



(勇次)「ああ… そうだな」



勇次は重い腰を上げ、机の横に下げてある作業着に着替え始め、

龍巳は隣の机に腰かけ、さくらの事を話し出した。



(龍巳)「勇次、その後さくヤンはどうだい?」



(勇次)「相変わらずだよ、なんの進展もないし、それなのにあいつ「バイトする」なんて言い始めて…」



(龍巳)「バイト? 何でまた」



(勇次)「金がなくて欲しい雑誌が買えないんだと、あと「高校生なのに目の前のジュースすら買えないのがシャクにさわる」とも言ってたな…」



(龍巳)「すげーな… 男より肝座ってるよなさくヤンって」



(勇次)「決めたら一直線だからな、あいつは」



服を着替え終え、二人はバスが止まっている表玄関へ歩きだした。



(勇次)「そう言えば、あいつ今日バイトの面接するって言ってたな」



(龍巳)「もうか!? 行動が早いなさくヤンは」



(勇次)「まったく… 帰る方法の手がかりさえ掴んでないってのに…大丈夫かあいつ」



(龍巳)「まぁ勇次、俺達に出来るのはさくヤンを応援する事と手助けする事だ、今はさくヤンの信ずる道を応援してやろうぜ」



龍巳の言う通りだ、

手がかりがない今は、地道に情報を集めて行くしか方法はない、もとより、こんな非現実ことが情報としてあるかさえわからない、

それはさくら本人が一番わかっていることだろう、

ならば勇次が出来ることは、さくらが望むことの手助けすること、さくらの味方でいることぐらいしか出来ないのだ。