マリンは、以前乗り越えて行った柵の目の前のテラスでお茶をしていた。 ただぼーっと外を見つめている。 「ねぇ、リリア」 リリアはお茶を汲む手を止め、マリンを振り返る。 「私、此処から追い出されるそうなの」 リリアは驚いてポットを取り落とした。 ガシャンと大きな音を立てて割れたポットは中身をぶちまけた。 真っ白なテーブルクロスに紅茶が染みていく。 珍しく慌てたリリアを見てマリンは苦笑した。 「そんなに驚くことないじゃない。――手伝うわ」 足元の欠片を拾いにマリンはかがみ込んだ。