「……」

「……」


ごくりと喉を鳴らし、あたしをまっすぐ見据える先輩を見返す。

逃げる方法は……恐らくない。


「言うな? …はいかイエスで答えろ」


「あ…じゃあはいで……おかしくないすか」


おかしいでしょ。

はいかイエスってそれ。


「じゃあ吐け」


吐けっていつの間に拷問になってるの!?

『言え』って先輩なりの優しさだったんだね……。


とほほ…と諦めの表情を浮かべた。


……浮かべた……。


「……あの。なにを言うんでしたっけ」


「マジで犯すぞてめぇは」


「すっ! すみません……」


だってこれまでのやり取りが長すぎて。

忘れちゃってたんですよ…。


無意識のうちに口を尖らせて、両手の人差し指をくっつけた。

完全に言い訳モードだ。


「ハァ…ったく」


「?」


ため息をついてそう呟き、あたしの上から退くと。