「そんな…みんながみんなそうってわけじゃないんですよ…えーえーそうですとも。あたしが馬鹿でしたよ…」


「なにをぶつくさ言ってんだ。さっさと帰んぞ」


「えー、えー。どーせ…………は?」


今なんか……本来聞こえないはずの言葉が聞こえた気が。


「つーかお前…鞄……あ。あった」


呟くと、ひょいっとそれを拾い上げ、未だにぽかんとしているあたしの腕を掴み、傘を差して当たり前のように歩いていくのだった。


「……」


「……」


……?


んーと…あれ?


「あのー…なにやってんですか?」


「は? 帰るんだろうがよ」


そう言って、他に何がある、というような表情をする。


も、もしかして……傘のないあたしを送ってくれようと…?


ようやくそう気付いたあたし。

ぶっきらぼうな優しさに、胸がときめいた。


「……って…」


わ…ま、まだ手握ってるし…!

ていうか一つの傘に二人で入るから、妙に密着してる。


…ドキドキしてる。あたし。

なんかすごく…。